記事が増えてくると、「関連記事も入れておこう」と原稿の末尾にリンクを並べる機会が増えます。ところが同じテーマの記事を選んでも、読者が次に知りたいことに答えているとは限りません。取材前の準備を読んでいる人に、原稿完成後の確認方法を案内しても、いま必要な質問案は作れないからです。
記事の内部リンクは、その段落を読んだ人が次に知りたいことと、リンク先で得られる答えを結び付けて選びます。 行き先が決まったら、読む理由が生まれる位置に置き、開く前に内容が分かる言葉を付けます。
企業メディアで記事を書く・編集する担当者に向けて、リンク先、配置、文言を決める手順を紹介します。以下の配置例や修正文は、編集部が作った説明用の例です。特定の案件で測定した成果を示すものではありません。
内部リンクとは、同じサイト内の別のページへの案内
内部リンクは同じWebサイト内のページをつなぐリンクです。他社の調査や公的資料など、別のサイトへ案内するものは外部リンクと呼びます。ここでは、記事の本文や末尾から、自社メディアの別の記事へ案内する場面を扱います。
たとえば「取材の準備」の記事から「質問案の作り方」へ進めば、全体の流れを知った後で、実際の質問を考えられます。読者にとっては説明を一段詳しく読んだり、次の作業へ移ったりするための道順になります。
検索エンジンにもリンクは使われます。Googleはリンクをページの発見と関連性の判断に使うと説明しています。ただし、リンクを追加すれば検索順位が上がると保証されるわけではありません。Google Search Central「リンクのベスト プラクティス」を踏まえ、まずは読者が移動する理由を説明できるリンクを考えます。
検索意図から記事全体を設計する段階なら、SEO記事の基礎と作り方が出発点になります。
リンク先は「同じテーマ」より「次の疑問」で選ぶ
候補の記事を選ぶ前に、リンクを置きたい段落の横へ、読者の次の疑問を一つ書きます。その疑問に答える箇所がリンク先にあるかを確かめてください。
取材準備の記事で「質問案は、相手に共有するものと、取材者の手元用を分けて用意する」と説明した場面を考えます。次の疑問は「それぞれに何を書けばよいか」です。この場合、取材一般の記事より、二つのひな形を載せている取材質問の作り方が具体的な案内先になります。
一方、「完成した原稿を相手に送る」という段落なら、読者は確認を頼む項目や依頼文を知りたいはずです。ここでは取材原稿の確認依頼とメール例文が候補になります。同じ「取材」の記事でも、作業の段階によって選ぶページは変わります。

選ぶときは記事のタイトルだけで判断せず、本文を開きます。「テンプレート」と案内するなら、実際に使えるひな形があるか。「料金」と案内するなら、金額の条件や対象まで分かるか。リンク先にない答えを、手前の文言で約束しないことが大切です。
答える記事がなければ、無理に近いテーマへつなぐ必要はありません。短い説明で済むなら今の段落に書き、別の記事が必要なら次の企画候補として残します。
置く位置は、今読む必要があるかで決める
その節を理解するための補足は本文の近くに、読み終えた後の作業は末尾に置くと、役割を分けやすくなります。これは編集部の配置案であり、すべての記事で同じ位置にそろえる決まりではありません。
たとえば、質問案を説明した直後に「共有用と手元用のひな形は、取材質問の作り方に掲載しています」と案内すれば、何を補えるかが分かります。記事末尾では「質問案ができたら、次は取材依頼文を整える」と、次の作業を示して案内できます。
ただし、今の記事の答えまで外へ追い出すと、リンクを開かない限り内容を理解できません。「質問案を分ける理由」を説明する記事なら、分ける理由はその記事に書きます。別ページへ任せるのは、ひな形の詳細や、扱う範囲を超える説明です。
同じ行き先を本文と末尾の両方に置く場合も、それぞれで読む理由があるかを見ます。直前に同じ説明で案内したページを、そのまま繰り返す必要はないでしょう。反対に、長い記事で離れた箇所から参照する理由があるなら、同じリンクが二度あるだけで削除は決めません。
Googleは1ページの理想的なリンク数はないとしています。数を埋めるために無関係な記事を加えず、どの疑問を補うかで残すリンクを決めてください。出典は前掲のリンクのベスト プラクティスです。
リンクの文言は、開いた後の内容が分かる言葉にする
リンクとして押せる文字を「アンカーテキスト」と呼びます。「こちら」だけでなく、リンク先の内容を示す短い言葉を付けると、読むかどうかを判断しやすくなります。
次は同じ行き先を案内する文の修正例です。太字の部分をリンクにする想定で比べます。
修正前: 詳しくはこちらをご覧ください。
修正後: 質問案に書く項目は、共有用・手元用の質問案のひな形を参考にしてください。
修正後は何を開くかに加えて、いま読む理由も分かります。記事タイトルの全文を必ず使う必要はありません。本文での役割に合わせて短くしても、行き先の内容とずれなければ案内になります。
ただし、目立たせるために「必ず成功する質問テンプレート」へ変えるのは別の話です。ひな形がある事実から、取材が成功する保証までは導けません。また、「取材 質問 作り方 インタビュー テンプレート」のように検索語を並べると、文章として読みにくくなります。Googleの前掲資料でも、説明的で簡潔な文言と、自然な文章が推奨されています。
リンクの分かりやすさは画面を見て読む人だけの問題でもありません。Webのアクセシビリティ指針であるWCAG 2.2の達成基準2.4.4は、リンクの文字だけ、またはプログラムで関連を判断できる文脈と合わせて、目的が分かることを求めています。読み上げ支援機能でリンクを一覧にして選ぶ場面もあります。W3Cによる達成基準2.4.4の解説
「こちら」という文字があるだけで、直ちにこの基準に違反するとは限りません。それでも原稿編集ではリンク部分を抜き出して読んでも行き先を想像できるか、という確認が役立ちます。必要な説明は同じ文や段落にも添えます。
公開前は、リンク先の本文まで開いて確かめる
入稿後の確認では、リンクが押せることに加え、案内した内容が実際の掲載ページにあることを見ます。原稿に正しいURLを書いていても、入稿時の選択範囲や、行き先の変更によって意図と違う案内になることがあるためです。
一つのリンクについて、次の順で点検できます。
- 案内文を読む。 何を知るために移動するのか、リンクの前後で分かるか。
- プレビューから開く。 管理画面や下書き用URLではなく、読者が見られるページへ移動するか。
- 行き先の該当箇所を読む。 案内したひな形・説明があり、内容が現在も使えるか。見出しやタイトルが似ているだけで済ませない。
- スマートフォンでも見る。 リンクの文字が途中で切れず、周囲の文章とともに読めるか。
検索エンジンがたどれる実装かは、編集内容とは別の確認です。Googleは一般にURLを持つ href 属性を付けた a 要素をクロール可能なリンクとして示しています。押すと動く文字が必ずこの形とは限らないので、独自の入稿機能を使う場合は制作担当者に確認してください。通常の記事編集ではCMSのリンク挿入機能を使い、実際に出力されたページを点検するところから始められます。
一人で書いて入稿する場合も、次のような短いメモを残すと、記事更新時に選定理由をたどれます。
置く箇所: 質問案を共有用・手元用に分ける説明の直後。
次の疑問: それぞれに何を書くか。
案内する内容: 質問案と手元用メモのひな形。
確認記録: 行き先の公開URL、該当する見出し、確認日、確認した人を記入する。
読者をなぜそこへ案内したか、選定理由を残しておくためのメモです。構成の段階で決めるなら、記事構成案のテンプレートにある「関連する記事・リンク先」の欄へ、この理由を添えられます。
まずは公開予定の記事から一つの段落を選び、読者が次に知りたいことを書いてみてください。その答えがリンク先のどこにあるかまで確認できれば、文言と置き場所も決めやすくなります。
参照情報の確認日:2026年10月19日。配置手順、修正文、確認メモはbalubo magazine編集部の提案です。



