記事構成案は、誰のどんな問いに、何を根拠として、どの順番で答えるかを決める設計書です。見出しだけを並べるよりも、各節で伝える答えと、その答えを支える資料まで書いておくと、執筆前に調査不足や論点の重複を見つけられます。
たとえば「記事の書き方」という見出しだけでは、書き手と編集者が別の内容を思い浮かべるかもしれません。「各節の冒頭に答えを置き、その後に理由と例を書く」という一文を添えると、何を書く節なのかが具体的になります。
本記事では、企業のオウンドメディアで解説記事を制作する担当者に向けて、記事構成案の作り方を紹介します。後半に、架空の企画を使った記入例と、コピーして使えるテンプレートを用意しました。手順や様式は編集部の提案であり、検索順位を保証するものではありません。
記事構成案には、見出し・答え・根拠を書く
記事構成案には、記事全体の目的に加えて、各節の「見出し」「読者に返す答え」「根拠」を記載します。ここでいう根拠は、公式資料だけでなく、確認済みの取材発言、自社で取得したデータ、再現できる操作結果なども含みます。
まずは次の項目を埋めれば、執筆を始められるかどうか判断できます。
| 項目 | 記入する内容 | 確認すること |
|---|---|---|
| 対象読者・困りごと | 誰が、どの場面で困っているか | 「すべての担当者」と広げすぎていないか |
| 読後の行動 | 読んだ後にできるようになること | 記事の中でそこまで支援できるか |
| 主軸キーワード・検索意図 | 探している言葉と、解決したい問い | 言葉の説明だけで終わっていないか |
| 仮タイトル・記事の答え | 記事全体で約束する内容と結論 | 本文で約束を果たせるか |
| 見出し・各節の答え | H2・H3と、それぞれの要点 | 同じ説明が複数の節にないか |
| 根拠・具体例・図表 | 出典URL、該当箇所、条件、掲載素材 | 未確認の事実を前提にしていないか |
| 扱わない範囲・関連リンク | 別の記事に任せる論点 | 話題が広がりすぎていないか |
| 未確認事項 | 確認先・担当・確認期限 | 答えが出る前に断定していないか |
企画は「何を、どんな切り口で届けるか」を決める工程、構成は「その企画を、どの順に説明すれば伝わるか」を決める工程です。テーマ自体が定まっていない場合は、先に記事の切り口を考える方法で問いを絞ると進めやすくなります。
記事構成案を作る5つの手順
構成案は、読者の到達点を決め、調べた材料を節ごとに割り当ててから、見出しの順番を整えます。見出しを先に完成させようとせず、資料によって答えが変わる余地を残しましょう。
1.読者が記事を読んだ後にできることを決める
最初に決めるのは、読者の属性だけでなく、記事を使って解決する具体的な作業です。「広報担当者が記事制作を理解する」より、「初めて記事を外注する広報担当者が、ライターに渡す構成案を作れる」と置くほうが、必要な説明を選べます。
英国政府のGOV.UKは、ユーザーニーズを行動や作業に基づいて記述し、誰が、何をしたいか、なぜ必要かを整理しています。これは政府サービスのコンテンツ指針ですが、読者の到達点を具体化する際の参考になります。1
編集部では、構成案の冒頭に次の一文を書く方法を提案します。
「○○の状況にいる読者が、△△を判断・作成できるようにする」
この一文に寄与しない論点は、いったん別の企画に分けます。たとえば構成案の作り方を知りたい読者に、オウンドメディアの立ち上げ全工程まで説明する必要はありません。
2.検索結果と手元の疑問から、答える問いを集める
検索結果は、想定した検索語に対してどんな説明が提供されているかを調べる材料です。上位ページの見出しをそのまま統合するのではなく、記事の形式、対象読者、扱う範囲を読み、まだ答えが足りない問いを探します。
「記事構成案 作り方」なら、「何を書くのか」「どんな順番で作るのか」「記入済みの例を見たい」「どこまで調査すればよいか」といった問いに分けられます。問い合わせや編集時の差し戻し記録があれば、実際に困っていることの裏付けとして加えます。
Google Search Consoleを使える場合は、自社の既存記事に表示されている検索語も確認します。ただし、自社でまだ記事を出していない問いは、自社のデータに現れないこともあります。取得できたデータの範囲を確認し、検索結果の観察と同じものとして扱わないことが大切です。
3.各節の答えと、それを確かめる材料をそろえる
各節に「この節では何と答えるのか」を一文で書き、その直下に根拠を置きます。まだ調査が終わっていない部分は、仮説や確認待ちとして区別します。

構成案の根拠欄には、資料のタイトルとURLだけでなく、どの記述を使うか、何を裏付けるかも書きます。数値なら対象期間や母数、サービスの仕様なら確認日や適用プランなど、意味が変わる条件も残します。
公式資料が見つかっても、その資料が主張を支えているとは限りません。たとえば「機能がある」という説明は、「その機能で作業時間が半減する」という効果の根拠にはなりません。根拠が不足する場合は、追加調査する、表現の範囲を狭める、節を外す、という選択肢があります。
編集部の提案や架空の記入例は、その旨を明示すれば使えます。ただし、提案を実証済みの効果として扱ったり、架空の例を実在企業の成果として紹介したりしないようにします。
4.読者が判断できる順番に並べ、見出しの階層を整える
節の順番は、読者が次の説明を理解するために必要な情報から組み立てます。作り方の記事なら「完成形→手順→記入例」、比較の記事なら「選ぶ基準→選択肢の違い→条件別の選び方」といった順番が考えられます。
H2は大きな論点、H3はその論点の内訳として使います。「記事構成案を作る手順」の下に「読者を決める」「根拠を調べる」を置けば、包含関係が明確になります。H3に別の大きなテーマが入り込んだら、独立したH2か別記事に分けるべきかを考えます。
World Wide Web Consortium(W3C)のWeb Accessibility Initiative(WAI)は、見出しが内容の構造を伝え、支援技術などによるページ内移動に使われると説明しています。見出しは階層に沿って入れ子にし、H2の直後にH4を置くような段飛ばしは、可能な限り避けるとしています。2
文字を小さく見せたいという理由でH3にするのではなく、話の親子関係で階層を決めましょう。
5.タイトルの約束と、本文の答えを照合する
最後に仮タイトルと各節の答えだけを続けて読み、読者の到達点まで説明がつながっているか確認します。「テンプレート付き」とするなら、実際に記入できるひな型が必要です。「比較」とするなら、共通の条件で違いを判断できる情報が必要になります。
Googleは、有用なコンテンツを自己評価する観点として、独自の情報や分析、他の資料の単なる書き換えにとどまらない付加価値、内容を適切に要約するタイトルなどを挙げています。3
構成の段階で、この記事ならではの記入例、判断基準、取材で得た具体的な説明などを確認しておきます。「他の記事にあるから」という理由だけで節を足しても、読者の作業が進むとは限りません。
記事構成案の記入例:取材依頼メールを解説する場合
構成案の記入例では、見出しと答えを一対一で対応させると、節ごとの役割が分かります。以下は「初めて取材を依頼する担当者向けの記事」という架空の企画です。実在の案件や取材実績を示すものではありません。
- 主軸キーワード:取材依頼メール 書き方
- 読者の状況:社外の相手に初めて取材を依頼する広報担当者
- 読後の行動:自社の企画に合わせ、相手が判断できる依頼文の初稿を作れる
- 仮タイトル:取材依頼メールの書き方|伝える項目と文面例
- 記事全体の答え:取材の目的、依頼内容、実施条件、返信先を整理して依頼する
- 扱わない範囲:取材当日の質問設計、録音・撮影の細かな運用、法的判断
| 見出し案 | この節で返す答え | 用意する材料・確認事項 |
|---|---|---|
| H2:依頼前に企画と実施条件を整理する | 相手に何を話してほしいかと、取材の条件を先に決める | 架空の企画設定。目的、媒体、公開予定、所要時間を矛盾なくそろえる |
| H2:取材依頼メールに書く項目 | 相手が可否を判断できる情報と返信先を書く | 編集部提案の項目表。謝礼や原稿確認など、案件ごとに決める条件を明記する |
| H2:文面例と書き換える箇所 | ひな型の固有名詞・目的・条件を自社の企画に置き換える | 架空の文面例。実在する氏名・メールアドレス・未承諾の約束を入れない |
| H2:送信前に確認すること | 宛先、依頼内容、日程、添付資料の整合を確認する | 上の例文を使った確認表。例文と項目表に食い違いがないか点検する |
この例では、第三者の数字や成果を使わず、編集部提案の文面とチェック項目を中心に設計しています。もし「返信率が上がる」という主張を加えるなら、同じ企画設定だけでは根拠になりません。比較条件の分かる実測などが必要になり、用意できなければその効果を約束しない構成にします。
見出しの数を決めることよりも、各節に必要な材料を具体化し、事実確認が必要な部分を切り分けることが大切です。
コピーして使える記事構成案テンプレート
次のテンプレートは、記事全体の設計と節ごとの執筆メモを分けています。文書ツールにコピーし、「節ごとの設計」を必要な数だけ複製して使ってください。
【記事全体の設計】
仮タイトル:
主軸キーワード:
対象読者・困っている場面:
読後にできるようになること:
記事全体の答え(一文):
既存記事との違い:
この記事では扱わないこと:
関連する記事・リンク先:
【節ごとの設計】
見出しの階層・文言(H2/H3):
この節で答える読者の問い:
冒頭で伝える答え(一文):
説明する理由・具体例:
根拠の資料名・URL・該当箇所:
情報の確認日・対象期間・適用条件:
事実/編集部の提案/仮の例の区別:
図表・画像の内容と利用条件:
未確認事項・確認先・担当・期限:
【執筆前の確認】
タイトルの約束をすべて満たしているか:
同じ答えを複数の節で繰り返していないか:
中核の事実に未確認事項が残っていないか:
構成の確認者・確認日:
執筆中に新しい事実が見つかったら、構成案も更新します。構成案は一度決めた順番を守り続けるための文書ではなく、書き手と編集者が、いま何を伝えようとしているか共有するための文書です。更新箇所と変更理由を残しておくと、本文との食い違いを追えます。
執筆に進める構成案か、3つの観点で確認する
構成案の完成は、空欄がなくなることではなく、本文で説明する内容と確認すべきことが区別できている状態です。編集部では、執筆前に次の3点を点検する方法を提案します。
| 観点 | 執筆へ進める状態 | 調査・構成に戻る状態 |
|---|---|---|
| 読者の問い | 各節の答えを読めば、読後の行動につながる | 説明は多いが、読者が何をすればよいか分からない |
| 根拠 | 記事の結論を支える情報と条件が確認できている | 結論が未確認の数字・効果・仕様に依存している |
| 役割分担 | 節ごとの役割が異なり、既存記事への案内もある | 見出しを変えて同じ内容を繰り返している |
見出しの数や文字数を先に固定する必要はありません。Googleも、検索で優先する特定の文字数を設定しているわけではないと説明しています。3 読者の判断に必要な説明が足りなければ加え、答えが重なるなら統合します。
まずはテンプレートの「読後にできるようになること」と「記事全体の答え」を埋め、各節の答えを書いてみてください。うまく書けない節は、問いが広すぎるか、判断材料が不足している可能性があります。見出しの言い回しを磨く前に、どちらを解決すべきかを確かめましょう。
検索意図から記事全体を設計する考え方はSEO記事の基礎、取材素材を扱う場合はインタビュー記事の作り方で補えます。構成確認や初稿の締め切りを管理する段階では、コンテンツカレンダーの作り方も参照してください。
参考資料
外部資料の確認日:2026年10月7日。記入例・テンプレート・制作手順は編集部が本記事向けに作成しました。
- GOV.UK「Identify user needs」
- W3C Web Accessibility Initiative「Headings — Page Structure Tutorial」(ページ記載の更新日:2017年5月4日)
- Google 検索セントラル「有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成」


