企業が伝えたい商品の特徴を、読者が自分から読み進めたくなるテーマにどうつなぐか。記事広告を企画するときには、商品の理解と同時に、読者が日々何に悩み、何を知りたいかを考える必要があります。
JALがスポンサーとなったNewsPicksの連載「あの人の時間戦略」では、申真衣さんと為末大さんへのインタビューを通じて、忙しい毎日に自分の時間をつくる方法を考えました。その先に、JALの国際線新機材「エアバスA350-1000」の機内で、自分に合った時間を過ごす魅力を伝える構成を設計しています。
企画の出発点、質問の設計、完成稿の構成、読者の反響から、企業の発信に使える考え方を紹介します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| スポンサー・媒体 | 日本航空株式会社/NewsPicks Brand Design |
| 対象 | A350-1000の羽田―ニューヨーク線、主にビジネスクラス |
| 目的 | 多忙なビジネスパーソンへの認知獲得と、興味・関心、搭乗意欲の醸成 |
| 連載 | 「あの人の時間戦略」から、申真衣さんと為末大さんの2本 |
1. 出発点は、ビジネスパーソンに新しい機内体験を伝えること
JAL×NewsPicks連載の目的は、A350-1000の新しい機内体験をビジネスパーソンに知ってもらい、搭乗への関心につなげることでした。座席や設備の情報に加え、その空間でどんな時間を過ごせるのかを伝える企画を考えました。
背景にあったのは、JALの国際線における客室の刷新です。JALは2023年10月の公式発表で、一人ひとりに合わせた空の旅と、乗客自身が過ごし方を選べることを打ち出しています。ビジネスクラスには扉付きの個室座席、24インチの画面、ヘッドレスト内蔵スピーカーなどを備え、プライバシーとくつろぎを支える空間を設けました。JALの当時の公式発表

企画の手がかりになったのは、こうした機材の特徴が、過ごし方の選択肢を増やすことです。仕事に集中したい人、眠りたい人、映画や読書を楽しみたい人では、望む快適さが違います。
そこで、商品の特徴を伝える前に、「忙しい読者は、どんな時間を取り戻したいのだろう」と考えました。移動中の過ごし方を、自分の生活や働き方と結び付けて考えられるテーマが必要だったのです。
2. 「自分好みのフライト」を、「自分の時間をつくる」という問いにつなぐ
JAL×NewsPicks連載では、多忙な日々に自分の時間を取り戻す方法を、共通の問いにしました。機内での過ごし方を選べる価値を、読者の人生や仕事に引き寄せて考えるためです。
企画書に置いた出発点は、飛行機に乗る体験を、単純な移動時間からどう捉え直せるか、という問いでした。そこから、自分のペースで時間を使えることが、人生やビジネスにどんな価値をもたらすのかを掘り下げています。
考えたのは、目の前の仕事をこなすだけで一日が終わってしまう読者の姿です。忙しさのなかで、自分のキャリアを考える、学ぶ、休む、身近な人と向き合う時間をどう確保するか。この問いなら、飛行機に乗る予定がない人にも、読む意味があります。
商材の特徴から、過ごし方の選択肢へ。その先にある読者の問いを、次のように整理しました。
| 商材の特徴 | 過ごし方の選択肢 | 読者につなぐ問い |
|---|---|---|
| プライバシーに配慮した座席 | 自分のペースで仕事や読書に向き合う | 他の予定に追われず、考える時間をどう確保するか |
| くつろげる座席や機内環境 | 休息を取り、気持ちを切り替える | 忙しい毎日に、自分のペースをどう取り戻すか |
| 映像・音楽などを楽しむ設備 | 好きなことを選んで過ごす | 自分が大切にしたい時間をどうつくるか |
ここでいう自分の時間は、一人で過ごす時間の長さだけを指しません。自分が大切にしたいことに、意識して時間を配分することです。この定義が、人物への質問と、最後に紹介する機内体験をつなぐ軸になりました。
3. なぜ申真衣さん、為末大さんに「時間」を聞いたのか
「自分の時間をつくる」というテーマを、具体的な経験から語れる人に聞くことを大切にしました。申真衣さんと為末大さんは、それぞれ異なる立場から、時間についての考え方と実践を読者に届けられる人でした。
申真衣さん:複数の役割を担いながら、自分で時間を配分する人
申真衣さんは、取材当時、GENDAの代表取締役社長、二児の母、モデルという複数の役割を担っていました。仕事も家族も大切にしながら、自分の学びや休息の時間も確保する。その実践は、日々の予定に追われる読者にとって、自分の時間配分を考える手がかりになります。
起用の理由は、忙しい人の時間術を聞けることに加え、何を大切にして生きるかという価値観まで掘り下げられることでした。質問案では、ゴールドマン・サックス時代の働き方から、家族を持った後の時間の捉え方、一日の過ごし方へと進めています。
「自分の時間は大切ですか」と聞くだけでは、読者が試せる方法までは見えてきません。そこで、日々のスケジュール、時間を使うときのこだわり、静かに考えられる場面、出張の行きと帰りの過ごし方など、経験を具体的に話せる質問を用意しました。
為末大さん:競技と仕事の経験から、考える時間の価値を語れる人
為末大さんは、陸上競技の現役時代と、引退後に事業や執筆に取り組む日々の両方を経験しています。本番の一瞬へ向けて準備を積み重ねる競技と、日常のなかで判断やアイデアを求められる仕事。その二つの経験から、時間をどう使えば価値を生み出せるのかを聞けると考えました。
申さんが複数の役割への時間配分を考える入口になるのに対し、為末さんからは、深く考えるために時間や環境をどう整えるかを学べます。共通テーマを保ちながら、読者に渡す時間の考え方を広げる組み合わせです。
質問では、現役時代と引退後で、時間に対する向き合い方がどう変わったかを起点にしました。そこから、自分の時間を確保する方法、思考を深める習慣、日常から離れる移動の価値へと進めています。
さらに為末さんには、A350-1000でのニューヨークへの移動を体験したうえで、その時間をどう過ごしたかを伺いました。読者に伝えたい商品の特徴と、本人が実際に感じたことが重なる部分を具体化するためです。
4. 同じテーマを、申真衣篇はQ&A、為末大篇は地の文と引用で伝える
JAL×NewsPicks連載の完成稿は、人物ごとの話の展開に合わせて形式と見出しを変えています。2本とも時間についての考え方と実践から始まり、後半で移動中の体験へ進みますが、読ませ方には違いがあります。
申真衣篇:時間配分の考え方から、静かな自分の時間へ
申真衣篇は、質問と回答を重ねるQ&Aです。まず時間の使い方を言葉にする考え方を聞き、次に長い人生のなかで学びへ時間を配分する話へ進みます。その後、一日のスケジュール、睡眠、家族との時間を具体化しています。
商品の紹介へ進む手前にあるのが、出張帰りの飛行機で、通知に邪魔されず読書を楽しめたという経験です。静かに自分のペースで過ごす価値を伝えた後、インタビュー場所であるA350-1000のビジネスクラスについて、個室のような座席や映像・音響設備への感想を紹介しています。
この順番によって、座席のプライバシーやくつろぎを、本人が大切にする時間の延長として読める構成になっています。申さんの記事で紹介するのは、A350-1000の機内で行ったインタビューと、その場での座席・設備への感想です。

為末大篇:深く考える時間から、日常を離れた機内の空間へ
為末大篇は、地の文で経験と論点をつなぎ、本人の発言を引用する形式です。競技人生と引退後の仕事を比較したうえで、重要な場面で価値ある判断をするために、日頃から思考を積み重ねる必要性を伝えています。
続いて、日常のタスクを処理する時間と、戦略や本質的な問いについて考える時間の使い分けを紹介。同じ性質の仕事をまとめる、思考する日に他の予定を入れない、散歩や読書、休息を取り入れるといった実践へ進みます。
最後に、日常から少し距離を取り、まとまった時間を過ごせる機内の話へ移ります。為末さんのフライト体験をもとに、個室のような空間、映像や音響、機内食などを、本人がどう使い、どう感じたかを伝えています。

2本の構成を比較すると、共通のテーマと人物ごとの違いが見えてきます。
| 記事 | 読者に渡す時間の考え方 | 具体的な実践 | 機内体験へのつなぎ方 |
|---|---|---|---|
| 申真衣篇 | 何にどれだけ時間を使うかを言葉にする | 学び、睡眠、家族、静かな時間への配分 | 自分のペースで読書や休息を楽しむ空間 |
| 為末大篇 | タスクを処理する時間と、深く考える時間を使い分ける | 予定のまとめ方、散歩、読書、休息 | 日常から離れて思考するための空間 |
取材・撮影も、記事のテーマを具体的に伝える役割を担いました。両篇の本文にはA350-1000の機内で取材したことが記され、座席で過ごす本人の写真が掲載されています。文章で語る時間の過ごし方と、その時間を支える空間を一緒に見せています。
企画に合う有識者のアサインと、機内の空間や人物の過ごし方を伝えるカメラマンのアサインも担当しました。誰に聞くか、何を聞くか、どんな写真で伝えるかを、同じテーマに沿って組み立てています。
5. 「カロリーメイトのCMのような広告」という評価も
申真衣篇は、閲覧や記事への反応などで当初の想定を上回る結果となりました。読者のコメントにも、時間の使い方を自分の生活や仕事へ引き寄せた声や、広告の構成自体を評価する声が寄せられています。
印象的だったのは、申真衣篇のコメント欄で、カロリーメイトのCMを引き合いに挙げてもらえたことです。スポンサー記事でありながら、読者に学びを届けるストーリーとして読めることを、ポジティブに受け止めてもらいました。
Sponsored記事でも、自社の売込みが全面に出てこないこういうストーリー構成はグッときますね。
SurgesのカロリーメイトのCMのようでした
コメントで紹介されていたのは、Orangestarの楽曲「Surges」を使ったカロリーメイトのWeb動画です。部活に打ち込む学生たちの姿をアニメーションで描き、限られた日々を懸命に生きる人を応援する内容になっています。大塚製薬による動画の紹介
この比較は、読者自身の生き方や時間の使い方への共感を入口にして、商品がその時間を支えるものとして伝わったという評価だと受け止めています。今回の連載でも、まず申さんの考え方や実践に学び、その延長で機内の過ごし方を知る流れをつくりました。企画で目指した読み心地が読者にも伝わったと感じる反応でした。
同じコメントでは、時間配分を言葉にすることや、夫婦で向き合う時間を、自身の仕事と子育てに重ねて考え、普段の工夫も書き出していました。記事の話が、読者の暮らしを振り返るきっかけになっています。
ほかにも、スマホから離れて読書する時間への共感や、長い人生のなかで時間を配分する発想が学びになったという声がありました。限られた時間をどう使うかという問いが、読者自身の振り返りにつながった様子を読み取れます。申真衣篇の公開コメント
忙しい中にも自分時間を作る工夫が必要ですね。スマホから離れて読書は納得。
為末大篇では、日頃の深い思考が重要な一瞬での判断を支えるという話や、タスクをこなす時間と思考する時間の区別への共感が見られます。また、移動の座席をアップグレードする価値を、考える時間やインプットの時間と結び付けたコメントもありました。為末大篇の公開コメント
私も為末さんと同じく、タスクをこなす時間と深く考える時間があると思っていたので、その時間を確保する考え方が非常に参考になるなと思いました。
学びや共感が生まれ、その人にとっての移動の価値も見えてくる。こうした声は、企業が伝えたい機内体験と、読者が考えたい時間の使い方をつなぐ企画の手応えになりました。
6. 次の企画では、特徴・過ごし方・読者の問いを対応させる
JAL×NewsPicks連載から他の企画に応用できるのは、商品の特徴を、その人が大切にしたい時間や行動と対応させる考え方です。特徴の説明に加え、それによって何を選べるのかまで考えると、読者へつながる問いを見つけやすくなります。
記事広告の企画では、次の順に整理してみてください。
- 商品・サービスの特徴を確かめる。 どんな仕組みや環境があり、どの条件で使えるのかを調べる。
- 使う人の選択肢を考える。 その特徴によって、どんな過ごし方や仕事の進め方を選べるのかを具体化する。
- 読者が既に持っている問いにつなぐ。 何に困り、何を大切にしたくて、その選択肢を必要とするのかを考える。
- その問いに経験から答えられる人へ聞く。 考え方に加え、実際の場面、行動、向く条件を取材する。
今回なら、プライバシーに配慮した機内空間から、自分のペースで過ごす選択肢へ。その先に、忙しい日々に自分の時間をつくる問いがありました。同じ空間でも、申さんは読書や休息、為末さんは深い思考という異なる価値を語っています。
この方法が使いやすいのは、商品の特徴と、語り手の実際の経験がつながる場合です。取材相手の話を商品の紹介へ無理に寄せると、その人に聞く意味も、読者が学ぶ意味も薄れてしまいます。直接的な仕様比較を求める読者には、条件をそろえた比較記事のほうが役立つこともあります。
7. 企業の目的と、読者が読みたいテーマを一緒に考える
baluboがつくりたい「広告すぎない広告」は、企業の目的と、読者が得る学びが一つのテーマでつながる記事です。スポンサーがいることを示したうえで、読者が自分の課題を考え、商品やサービスの価値を理解できる内容を目指します。
baluboでは、商品の背景や対象読者の整理から、企画、質問設計、取材、記事の構成・編集までご相談いただけます。企画に合う有識者のアサインや、カメラマンなど撮影スタッフの手配も、必要な体制と合わせて対応します。
「商品のどこを入口にすれば読者が関心を持つか」「誰に話を聞くと具体的な価値が伝わるか」といった段階から、一緒に考えます。伝えたい商材、想定する読者、掲載先をお聞かせください。




