オウンドメディアのカテゴリは既存記事の内容と、読者が何を探すかを対応させて設計します。 先に名前や数を決めるより、記事を並べ、分類する基準と境界を言葉にすると、入れる場所を判断しやすくなります。カテゴリで主な入口を作り、別の分類をまたいで読む理由があればタグを使う、という分担も考えられます。
「記事は増えたのに、どこへ置くか毎回迷う」「一覧を開いても、必要な記事が見つからない」。こうした場面では、新しい分類を足す前に、作り手と読者が同じ基準で分けているかを確かめたいところです。少人数で企業メディアを運営する担当者に向けて、カテゴリ案の作成から名前・タグ・見直しまでを整理します。
分類・記事名・確認用の課題は編集部が作成した想定例です。カバーはAIで制作した分類作業のイメージで、実際の案件や利用者テストを撮影したものではありません。
カテゴリを増やす前に、既存記事と探す内容を並べる
分類案を作る材料はいま読める記事と、その記事を必要とする場面です。コンテンツの棚卸しでURLとタイトルを集めたら、各記事に「何を知りたい人が読むか」を一行で添えます。立ち上げ前なら、公開する内容が決まった記事案から考えます。
たとえば製造業のメディアに、装置の選定条件を比べる記事、清掃の手順を説明する記事、担当者の仕事を紹介する記事があるとします。「営業部」「技術部」と書き手の部署で分けても、読者はその記事がどちらの担当かを知らないかもしれません。「設備を選ぶ」「設備を運用する」「仕事を知る」のように、読む用事から分ける案も比べられます。
ここで決めるのは、そのメディアで使う分類の基準です。業務の段階で分けるのか、扱う技術で分けるのか。違う基準を同じ階層へ無造作に並べると、どちらにも入る記事が増えます。複数の基準が必要なら、主な入口と補助的な絞り込みへ役割を分けてみます。
英国Government Digital Serviceの「GOV.UK Taxonomy principles」(2019年公開)は、既存または近く公開するコンテンツに沿って分類を作り、利用者が政府の組織構造を理解しなくても探せるようにする方針を示しています。1 公共サイトの分類をそのまま移すのではなく、企業メディアでも社内の区分と読者の探し方を分けて考える参考になります。
オウンドメディアの役割が定まっていないなら、先に誰に何を届けるかへ戻ります。記事の置き場を増やしても、メディアが扱う範囲は決まりません。
カテゴリとタグは、同じ記事に別の入口を作るために使い分ける
カテゴリとタグは、どちらも関連する記事をまとめる仕組みですが、役割を分けると運用しやすくなります。この記事ではカテゴリを主な分類、タグを分類をまたぐ共通の話題として使う案を考えます。
2026年11月4日時点のWordPress.com公式ガイドも、カテゴリを広い話題のまとまり、タグを関連コンテンツを結び付ける、より具体的なキーワードとして説明しています。2 ただし、登録できる数、階層、一覧への出し方はCMSやサイトの設計によります。「一記事にカテゴリは一つだけ」といった決まりは、機能と編集方針を確かめてから定めます。
先ほどの製造業メディアなら、画像検査装置の照明・設置条件を比べる記事を「設備の選び方」、清掃の確認箇所を扱う記事を「設備の運用」へ置く案があります。両方に「画像検査」というタグを付ければ、用事の違う記事を、同じ技術からたどる入口も作れます。

記事の中に出てくる単語をすべてタグにする必要はありません。そのタグから一覧へ移った読者に、どんな記事群を渡せるかで選びます。同じ意味の言葉を別々に登録しないよう、既存の名称を検索してから追加する手順も決めておきます。
カテゴリやタグの一覧と、文脈の中で次の疑問へ案内する記事の内部リンクは、役割が違います。分類が同じという理由だけで、すべての記事を相互に結ぶ必要はありません。
カテゴリ名と一緒に「入れる記事・入れない記事」を決める
カテゴリ名は一覧を開く前でも中身を予想できる言葉にします。「インサイト」「ソリューション」のような広い言葉を選ぶなら、対象読者に何の記事があると伝わるかを確かめます。社内で慣れた略語もそのまま読者に通じるとは限りません。
GOV.UKの分類原則は、名称が単独で意味を持ち、利用者の言葉を反映し、似た分類との違いを判断できることを重視しています。1 分類名だけで境界を言い切れないときは、編集者向けの短い定義を添えます。
次は主な用事で分ける場合の想定例です。「入れない記事」を置くと、隣のカテゴリとの違いを確認できます。
| カテゴリ案 | 入れる記事 | 別の場所で扱う記事 |
|---|---|---|
| 設備の選び方 | 導入前の比較・選定条件 | 導入後の日常点検・清掃 |
| 設備の運用 | 使用中の管理・手入れ | 採用候補者向けの仕事紹介 |
| 仕事と人 | 担当者の役割・仕事の進め方 | 装置そのものの比較条件 |
一つの記事が複数の内容を扱うなら、タイトルとリードが約束する主な答えへ戻ります。選定と清掃を含んでいても、中心の問いが「導入前に何を比べるか」なら、選定の記事として扱う理由があります。逆に主な答えが定まらないなら、分類の問題だけでなく、記事の構成を見直す余地もあります。
迷った記事は、分類先の候補と迷った理由を編集用の一覧に残します。「その他」へ入れて終えず、既存の定義で扱えるか、記事を直すか、新しい分類が必要かを決めます。読者に公開する前に分類先を確認する運用です。
分類案を考える作業と、そこから記事を探す確認を分ける
記事をグループにまとめられることと、必要な記事へたどり着けることは、別々に確かめます。まず読者がどんな関係で記事をまとめるかを知り、その後に分類名や階層から探せるかを見ます。
Nielsen Norman Groupは、参加者が項目をグループ分けする「カードソーティング」を分類案の検討に使い、既存の分類を評価する方法として「ツリーテスト」を案内しています。カードの分類だけではサイト上の画像やリンクを含めた文脈や、情報に至る経路までは分からないという限界も示しています。3
企業メディアで試すなら、記事名と内容を短く書いたカードを、想定読者に近い人にまとめてもらい、迷った理由を聞く方法があります。編集部の案を先に見せるかどうかでも、得られる情報は変わります。利用者の名前の案を、そのまま最終のカテゴリ名に決める必要はありません。
案を絞ったら、「画像検査装置を使い続けるときの清掃について知りたい」といった課題を用意し、分類の一覧から該当記事を探してもらいます。これは本記事の確認例です。選定の記事へ進んだなら、カテゴリ名の解釈が違ったのか、記事名から内容を判断できなかったのかを聞きます。正解を教えながら進めた結果と、自力で見つけた結果は分けて残します。
分類名と階層を確かめた後も、公開画面ではメニュー、パンくず、一覧、タグから記事を開けるかを確認します。スマートフォンで名称が途中で切れないか、同じ分類でも表示名が違っていないかも見ます。小さな社内確認だけで、読者全体が迷わないことを証明したとは扱いません。
見直すときは、記事数だけでなく迷いの理由を残す
カテゴリを分ける・まとめる判断は、記事数の多寡だけでは決まりません。同じ分類でも読者が探す内容が分かれてきたのか、名前が重なっているのか、記事自体が不足しているのかを確かめます。
たとえば「設備の運用」に清掃・点検の記事が増えても、一覧から選べるなら、すぐに下位カテゴリを増やす必要はありません。反対に「清掃」へ進んだ人が、日常の手入れと保守会社へ頼む作業を混同しているなら、名称や説明、記事の分け方を検討する理由になります。これは運用を考えるための想定例で、実測した行動ではありません。
編集部で見直すときは、次の記録を残すと変更理由を共有できます。
迷った記事・探したかった内容:
変更前のカテゴリと定義:
迷いを確認した方法・対象:
変更する名前・境界と理由:
影響する記事・一覧・リンク:
担当者・反映後に確認する日:
この記録は編集部の提案です。分類を変える担当者と、反映後の確認をする人を決めます。URLの変更や一覧の統合を伴う場合は、既存リンクや転送先への影響も含め、実装担当者と確認します。
読者アンケートで集めた声は見直しの手がかりになりますが、回答だけで原因を決めず、実際の記事と画面に照らします。カテゴリ設計は名前を付けて終わる作業ではありません。既存記事を分類し、探せるかを確かめ、迷った理由を次の変更へ残すところまでを一つの運用として考えます。
参考資料
2026年11月4日に確認。公的サイトの分類原則、WordPress.comの仕様説明、利用者調査の解説を、企業メディアの編集へ応用した記事です。特定のカテゴリ数やタグ数を正解としたり、分類の変更による検索順位・回遊の改善を保証したりするものではありません。
- Government Digital Service:GOV.UK Taxonomy principles — 既存コンテンツ、組織構造と利用者、分類名の考え方。
- WordPress.com:Categories vs. tags — 広い分類と、関連する内容を結ぶ具体的なキーワード。
- Nielsen Norman Group:Card Sorting: Uncover Users’ Mental Models — カードソーティングの役割、ツリーテストとの違い、手法の限界。



